上野の森美術館

アートスクール

アトリ絵ブログ

【受講生募集】夏季特別講座ピックアップ!vol.1「日本画講座〜古典に学ぶ美人画の表現〜」

2018年7月4日

夏季特別講座ピックアップ!vol.1

8月のお盆から下旬にかけて毎年開催される「夏季特別講座」。
その中からいくつか講座をピックアップして、ご紹介します。


通常クラスの授業風景

今回ご紹介するのは
『4.【演習】日本画講座〜古典に学ぶ美人画の表現』日程:8月15日(水)〜16日(木)です。

日本画家、真鍋修先生による日本画講座を開講します。

「日本画」というと、みなさんはどのような絵を思い浮かべるでしょうか?現代日本画においては様々な表現方法があり、一見すると日本画だとはわからない作品も多くなっています。それに対し「古典的な日本画」は平面的という印象が強いのではないかと思います。

この講座は、古典的な日本画表現に習いながら「美人画」を描くという授業内容です。昔の日本画にある人物の表情、空間表現を試みます。


真鍋先生の作品


通常クラスの授業風景。講座でも実演を交えた説明があります。


通常クラスの授業風景。下絵を描いているところです。


通常クラスの授業風景。水彩で色を付けた下絵です。

古典的な日本画表現の可能性〜最小限の陰影で成立する“作法”を体験しよう〜

詳しい授業内容などを、真鍋先生に伺いました。

――授業の流れは?
初日は、着物を着たモデルさんをほぼ一日かけデッサンします。自分なりにしっかりモデルを観察し、対象をよく知ることが重要です。モデルのポーズを描きつつ、並行して岩絵の具による下地塗りもする予定です。
2日目は、本画に墨を使って描いて行く行程へ。初日に描いたモデルさんを昨日の下地塗りした本画に写し、墨で描写。その上から岩絵の具で描いていく、というのがおおまかな流れになります。

途中で、上村松園や鏑木清方、中村貞以などの画集をお見せしながら“日本画の古典的な描法”の説明をします。


真鍋先生による、以前行われた講座での実演作品。下地に下絵を転写したところ

――今回の授業のポイントは?
日本画の古典的な絵画には陰影が“あまり”ありません。果たして、陰影を付けない描き方で立体は表現出来るのか?それを体験するのが今回の授業のポイントになります。

日本画で着物の女性を描くというと、ベタなイメージを持たれるかもしれません。しかし、着物の柄などの色や形が立体を表現するヒントになります。

洋画家のボナールは、浮世絵に影響を受けた画家の1人です。陰影を付けない表現に驚いて、自分の作品でもチャレンジしていますね。


真鍋先生による、以前行われた講座での実演作品

――なぜ、昔の日本画家たちは陰影を使わない描き方をしてきたのでしょうか?
陰影を付けたら良くなかったんでしょうね。気持ち悪いなって(笑)

――日本人は、アニメーションなど、平面的なものに良さを見いだせる人種のような気がします。
対象を認識する“くせ”が色面でとらえがちな傾向にあるような気がします。美大予備校に行ったら、初めて西洋的な、陰影をしっかりとらえる描法を学ぶということがほとんどかも知れません。

立体感の表現に悩んでいる生徒さんがたまにいらっしゃいますが、日本画的な見方を知っていただけると少し安心するんじゃないかなと思います。

――最後に一言どうぞ。
正直、陰影を使わないで描くというのは難しい部分もあるかも知れませんが、最小限の陰影で成立する作法があるのではと思います。今回は内容の濃い2日間になります。スクールサイドの提案もあって経験者向けとして考えましたが、気にせずに申し込んでいただけたらと。集まった人のレベルに応じてアドバイスしますので安心していらしてください。

――ありがとうございました!

この講座では、墨による描法が多くを占めるのですが、濃淡で対象を瞬時にとらえる真鍋先生の実演は必見です。通常講座のクラスは全て満員(!)の真鍋先生の講座をぜひ体験してみてください。

今回の授業では、下地用の岩絵の具はスクールで用意しますが、描画用の岩絵の具や墨はご自身で用意していただきます。

岩絵の具を用意されることが難しい、日本画を初歩から学ばれたいという方は、日本画画材の中でも手軽で扱いやすい「水干」や「顔彩」で描く日本画を学べる「7.【基礎】初めての日本画」をお勧めいたします。

ご不明点は、上野の森アートスクール(TEL.03-5817-2810)まで、どうぞ。