VOCA展2020

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開催概要

名称
VOCA展2020 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─
会場
上野の森美術館
会期
3月12日(木)〜3月30日(月)

VOCA展2020紹介

「VOCA展2020」の開催にあたり、受賞者にインタビューを行いました。
※2020年3月11日収録 

受賞作品

  • VOCA賞 Nerhol
    「Remove」

    インクジェットプリント
    150×204×5.7cm

  • VOCA奨励賞 菅 実花
    「A Happy Birthday, #selfiewithme」

    インクジェットプリント、iPad 
    1. 213.2×152.4×6cm 2. 19×24×4.5cm (映像4分31秒)

  • VOCA奨励賞 李 晶玉
    「Olympia 2020」

    墨、アクリル、デジタルプリント、パネル、紙  220×360×4cm (220×120×4cm の3点構成)

  • VOCA佳作賞 黒宮菜菜
    「Image−終わりし道の標べに」

    アクリル、油彩、木製パネル、カンヴァス  194×242.5×7cm

  • VOCA佳作賞 宮本華子
    「白が消えていく。−Mein Tagebuch−」

    写真印刷用紙、額、ディスプレイ、半透明カーテン、刺繍糸
    56.4×75.2×3cm が2枚(写真)
    56.4×75.2×3cm(映像20分45秒)
    245×400×3cm (カーテン)

  • 大原美術館賞 浅野友理子
    「くちあけ」

    油彩・水干絵具・岩絵具、木製パネル・和紙 240×390×5cm

選考所感

小勝禮子(選考委員長/美術史・美術批評)

今回のVOCA展は手法は多様でありながら、それぞれ質の高い作品が揃った。その中で受賞作品には写真の技法を使ったものが多く入ったが、単に写真というだけではなく、それに手を加えて加工した、独自の技法を駆使したものであった。デジタルばかりでなく、アナログ的な手法も使い、いかに加工するか、そこに各作家のオリジナリティと創意が込められ、また作品の主張も凝縮されていた。VOCA賞のNerhol《Remove》、奨励賞の菅実花《A Happy Birthday》《#selfiewithme》、李晶玉《Olympia2020》などである。

光田由里(DIC川村記念美術館学芸部マネジャー)

デジタル画像時代の美術の位置を再考した。Nerholが、見つけた写真をエモーショナルな彫刻に埋め込み物質感とトラウマ感を与える時、通過できない実体が現れる。瞬時に加工増幅可能な画像の中で、菅実花自身は敢えて精巧に仕上げたヒト型と並ぶ。李晶玉はグラフィックで空虚なスタジアムに、鮮明な写真の人をモニュメンタルに立ち上げた。呪言をステッチして自らを浄化する行為を、宮本華子は壁面に凝集した。黒宮菜菜の錬金術的マチエールは画像には取り込めない。

柳沢秀行(大原美術館学芸課長)

作品の観察により収集できる情報と、作品の観察だけでは把握しえない情報とのあわいに思いをはせる審査だった。Nerholは、制作手法に大きな変化はないが、選択した画像と手法のバランスが良く、強度のある作品となっていた。推薦文によると、画像は宇宙飛行士の重力を除去する実験であり、作家もまたその図像を当初は誤読していたという。この誤解が解けた瞬間、作者にとって作品の意味はどう変わったのだろうか?その転換も含めて興味深い作品である。

水沢 勉(神奈川県立近代美術館館長)

VOCA賞のNerholは、イメージを写真から発掘してみせる仕事で鮮烈であった。実在する自分とそれをコピーした人形のダブルポートレートに、さらにセルフィーの加工画像を液晶モニターで相乗させる菅実花も、それに劣らずユニークな作品だった。李晶玉のグラフィックな処理を加味した「絵画」表現も熱く、冷たい。宮本華子の映像と刺繍の手わざの組み合わせも日常を掬いあげる試みだった。黒宮菜菜のたっぷりと費やされた絵画の時間も秀逸だ。

家村珠代(多摩美術大学教授)

今年のVOCA作品は、Nerholと菅実花の作品が印象に残った。Nerholは、何重にも積層された写真を、荒く、うねるように切り刻むことで、彫刻的とも言える物質感を獲得しつつも、イメージをモノクロームとすることで、再び写真的な質に近づけるという、両義性をもったものだった。いっぽう菅は、これまでのようにラブドールに仮託するのではなく、自身の顔部を型取りした人形と並んで記念写真を撮ることで、自身に内在するアンドロイド性を垣間見せることに成功していた。

作家一覧

「VOCA展2020」の推薦委員・出品作家が下記のように決定しました。

作家 推薦者
浅野友理子 髙田 彩 ビルド・フルーガス/塩竈市杉村惇美術館アートディレクター
アンジュ・ミケーレ 住吉智恵 Real Tokyo ディレクター、アートプロデューサー、ジャーナリスト
生島国宜 岡本 梓 伊丹市立美術館 学芸員
石澤英子 中尾英恵 小山市立車屋美術館 学芸員
伊波リンダ 上間かな恵 佐喜眞美術館 学芸員
今村 文 尺戸智佳子 黒部市美術館 学芸員
江上 越 畑井 恵 千葉市美術館 学芸員
大八木夏生 国枝かつら 京都市京セラ美術館 学芸員
加藤 巧 高橋綾子 名古屋造形大学 教授
福元崇志 国立国際美術館 研究員
菅 実花 岡村幸宣 原爆の図 丸木美術館 学芸員
金 サジ 趙 純恵 福岡アジア美術館 学芸員
木村 宙 山内舞子 キュレーター
黒宮菜菜 竹口浩司 広島市現代美術館 学芸担当課長
國分郁子 金澤 韻 十和田市現代美術館 学芸統括
小林麻美 穂積利明 北海道立近代美術館 主任学芸員
小林健太 山峰潤也 水戸芸術館現代美術センター 学芸員
城 愛音 吉原美惠子 徳島県立近代美術館 上席学芸員
諏訪未知 神山亮子 府中市美術館 学芸員
高本敦基 牧野裕二 高松市美術館 学芸員
高山夏希 岡里 崇 上野の森美術館 学芸員
多田さやか 小金沢 智 太田市美術館・図書館 学芸員
立原真理子 鎮西芳美 東京都現代美術館 学芸員
田中奈津子 真武真喜子 Operation Table インディペンデントキュレーター
玉山拓郎 三本松倫代 神奈川県立近代美術館 主任学芸員
Nerhol 工藤香澄 横須賀美術館 学芸主査
藤城 嘘 筒井宏樹 鳥取大学 准教授
増田将大 植松 篤 静岡県立美術館 主任学芸員
三瓶玲奈 野中祐美子 金沢21世紀美術館 アシスタント・キュレーター
水木 塁 遠藤水城 東山アーティスツ・プレイスメント・サービス 代表
宮本華子 楠本智郎 つなぎ美術館 主幹・学芸員
山口麻加 千葉真智子 豊田市美術館 学芸員
山本 努 古川文子 岡山県立美術館 学芸員
李 晶玉 田村麗恵 東京都美術館 学芸員

VOCA展とは

VOCA展では全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、全国各地から未知の優れた才能を紹介していきます。

「VOCA2020」出品規定概要

関連イベント情報

同時開催 石川順惠 Ishikawa Yukie 展

2020年 3月12日(木)~30日(月)
入  場  料:無料
会  場:上野の森美術館ギャラリー
開館時間:10:00〜18:00

本展では、石川が近年続けている〈Impermanence(非永続性)〉と題したシリーズの新作を発表します。
さまざまな色面や形、線を重ね合わせた知的な画面構成は見る者を深く豊かな絵画体験へと誘うでしょう。


Impermanence 花菜風|Impermanence—Wind through Rape Blossoms|2019|アクリル、砂、カンヴァス|290×195.5cm

「第一生命ギャラリー&ロビー」展示スケジュール

場所 東京都千代田区有楽町1-13-1 第一生命保険株式会社 日比谷本社1F

青木恵美子、碓井ゆい、大小島真木、幸田千依、鈴木星亜、東城信之介、平子雄一など、VOCA作家の受賞作品や近作・新作を展示します。

展覧会名 会期
「Japanesque!」 2020年3月2日(月)~4月10日(金)12:00〜17:00(金曜は19:00まで)
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、臨時閉館します。
再開・会期の延長等は、今後の状況を見ながら判断します。
第一生命ギャラリー ※土・日・祝日は休み
VOCA受賞作家展「TOKYO☆VOCA」 2020年3月2日(月)~12月30日(水)8:00〜20:00
第一生命ロビー(ロビー展示「TOKYO☆VOCA」は予定どおり開催しています)