上野の森美術館

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VOCA展とは

VOCA展では全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、全国各地から未知の優れた才能を紹介していきます。

最新情報

開催概要

名称:VOCA展2013 現代美術の展望─新しい平面の作家たち
会場:上野の森美術館
会期:3/15(金)〜3/30(土)
休館:会期中無休
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
観覧料:一般・大学生500円 高校生以下無料
  ミューぽんがご利用になれます
主催:「VOCA展」実行委員会/公益財団法人日本美術協会 上野の森美術館
協賛:第一生命保険株式会社
お問合せ:03-3833-4191

受賞作品

  • VOCA賞
    鈴木(花房)紗也香 「あの日の眠りは確かに熱を帯びていた」

    油彩、アクリル、布、カンヴァス
    227.3×363.6×5cm

受賞者による個展

第1回開催よりVOCA展の運営をサポートしている第一生命保険株式会社では、毎回VOCA賞、VOCA奨励賞受賞作品を所蔵し、本社1階にあるロビーでの展示、第一生命南ギャラリー(東京都・有楽町)での定期的公開を行っているほか、全入賞者に対して、同ギャラリーを個展の開催場所として提供しています。

作家一覧

作家名 推薦者(所属)
蒼野 甘夏 佐藤 敬爾(市立小樽美術館)
石井 七歩 飯田 高誉(青森県立美術館)
出月 秀明 高嶋 雄一郎(岡山県立美術館)
伊藤 遠平 大島 賛都(美術評論家)
瓜生 祐子 尾﨑 信一郎(鳥取県立美術館)
江川 純太 薮前 知子(東京都現代美術館)
王子 直紀 土屋 誠一(沖縄県立芸術大学)
大﨑 のぶゆき 山脇 一夫(金城学院大学)
太田 祐司 福住 廉(美術評論家)
大矢 加奈子 田中 龍也(群馬県立近代美術館)
岡田 真希人 森山 貴之(京都市立芸術大学ギャラリー)
尾崎 嶺 柳原 正樹(富山県水墨美術館)
鹿野 震一郎 松井 みどり(美術評論家)
加茂 昂 高橋 瑞木(水戸芸術館現代美術センター)
菊地 敦己 中田 耕市(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)
小谷野 夏木 大谷 省吾(東京国立近代美術館)
近藤 亜樹 和田 浩一(宮城県美術館)
笹井 青依 宝玉 正彦(日本経済新聞社)
作家名 推薦者(所属)
佐藤 翠 岡里 崇(上野の森美術館)
柴田 麻衣 出原 均(兵庫県立美術館)
末永 史尚 藤川 哲(山口大学)
鈴木 敦子 平野 到(埼玉県立近代美術館)
鈴木 紗也香 五十嵐 卓(損保ジャパン東郷青児美術館)
唐仁原 希 太田垣 實(美術評論家)
友政 麻理子 鷲田 めるろ(金沢21世紀美術館)
中村 友紀 名古屋 覚(美術ジャーナリスト)
平子 雄一 木村 絵理子(横浜美術館)
文谷 有佳里 飯田 志保子(インディペンデントキュレーター)
北城 貴子 以倉 新(静岡市美術館)
松本 恭吾 那須 孝幸(北九州市立美術館)
村山 悟郎 李 美那(神奈川県立近代美術館)
山口 英紀 山下 裕二(明治学院大学)
横田 章 川浪 千鶴(高知県立美術館)
吉田 晋之介 谷 新(宇都宮美術館)
吉田 夏奈 荒木 夏実(森美術館)
和田 真由子 中井 康之(国立国際美術館)

マークの付いた作家名から各作家のウェブサイトがご覧いただけます。

選考所感

高階 秀爾(選考委員長/大原美術館館長)

今回のVOCA展は、例年以上に充実した内容で見応えのあるものであった。VOCA賞を得た鈴木紗也香は、屋外、室内、窓、画中画など複雑な空間の重なりを洗練された色彩感覚に基いて自律的画面構成にまとめあげた卓抜な表現力が高い評価を得た。奨励賞の平子雄一は自然をモティーフとした濃密な画面に強い内面感情を表出し、柴田麻衣は幻想的味わいをも湛えた完成度の高い画面を見せた。佳作賞の大﨑のぶゆき、吉田晋之介も発想の新鮮さと現代的な問題意識によって注目される。大原美術館賞は同館の選定により、佐藤翠に決定した。

酒井 忠康(世田谷美術館館長)

節目の20回目となり、振り返ってみてVOCA賞展もいろいろな時代的変遷に対応して、ときにはモノクロームを主とするミニマルな傾向を示したり、漫画ブームによる影響を如実にしたり、とにかく若い作家の登竜門らしい、生々とした気分をとどめてきたことを、あらためて思い出します。
 名前を正確にしないが、その後、大きな飛躍をみた作家が多く、しばしばVOCA賞の受賞作家あるいは入選作家ですよ、と知らされることもあって、私は選考委員をしているということもあって嬉しい気持ちになりました。今回は特に、VOCA賞となった鈴木紗也香《あの日の眠りは確かに熱を帯びていた》は絵画としての表現の豊かさをみせながら、感じのいい情緒と過度に走らない装飾性=上品さを示していて好感をもちました。

建畠 晢(京都市立美術大学学長)

今年もまた具象的傾向の作品がほとんどで、また断片化されたイメージを並置したり、画面そのものを分割して壁面インスタレーションとして配置した作品がいくつも見られた。VOCA賞の鈴木紗也香はどこかマチスにも通じるような装飾感覚によって異質のイメージを調和させた画面が興味深い。大﨑のぶゆきのビデオ映像は、特殊な工夫によって、絵画的世界へのユーモラスな動きの要素を導入してみせている点が注目された。

本江 邦夫(多摩美術大学教授)

今年のVOCA展は全体として低調だったように思う。それだけに「現実」をちゃんと見据えた地力のある作家が最終的に残った。大賞の鈴木紗也香さんはその典型。部屋の内と外を抒情的に錯綜させつつ、現代に特有の孤絶感を表現したところに新味がある。こうした錯綜感は平子雄一さん、吉田晋之介さん、柴田麻衣さんの「風景」にも通じるものであり、大﨑のぶゆきさんの絵画批判的な映像作品のある種の不安感を裏づけるものでもあろう。

神谷 幸江(広島市現代美術館学芸担当課長)

絵画の主題は森羅万象、日常から非日常まで様々なはずだが、今回の推薦作品をながめ、見回した時、風景を描いたものが実に多かった。それらはコマ割りのような断片的、多角的視点でとらえられたものだ。昨今、私たちをとりまく風景は劇的な変化を見せた。というより変貌する様をみせつけられた。それを記録におさめるとは異なり心と身体で受けとめ、平面にしみ出してくるような、一種の体験濾過装置としての作品のあり様をみることができたように思う。

光田 由里(美術評論家)

今年のVOCA展の大画面には、強烈なイメージや明快な理論の替わりに、揺らぐ空間と物語風に展開する絵画論があった。
 大賞の鈴木紗也香作品では、中央にゆるく束ねられた白い糸に、複雑な画中画のパースペクティヴ群が重なる。幾層ものレイヤーは柴田麻衣作品の筆触と切り紙を合わせた描写や、大﨑のぶゆきの映像の仕掛けにも潜んで、描くことと描かないことが表裏となっていた。高度に洗練された絵画のはかなさがこれらに示されている。

関連イベント情報

VOCA20周年記念シンポジウム「VOCAと現代美術の20年」

日時: 3月14日(木)15:00~17:00/場所:上野の森美術館
パネリスト:高階秀爾(VOCA展選考委員長・大原美術館館長)、光田由里(美術評論家)、谷新(宇都宮美術館館長)、名古屋覚(美術ジャーナリスト)、小林正人(画家)、曽谷朝絵(アーティスト)

定員: 150名 ※要申込み(下記参照)

<シンポジウムお申込み・お問合せ>

住所・電話番号・氏名と、シンポジウム参加希望を明記のうえ、FAXまたはEメールにてお申し込みください。
定員となり次第、締め切らせていただきます。

◎申込み先: 上野の森美術館「VOCA展」係
FAX:03-3836-0066
Eメール:voca_2013@ueno-mori.org
※申込みの際に取得した個人情報は、申込み者への通知および予定変更等の連絡のみに使用いたします。

◎問合せ先電話番号: 03-3833-4191(上野の森美術館)

受賞作家によるアーティスト・トーク

受賞者が自作について語ります。

日程: 3月16日(土)15:00~16:00
佐藤翠(大原美術館賞)、柴田麻衣(VOCA奨励賞)、平子雄一(VOCA奨励賞)
3月23日(土)15:00~16:00
大﨑のぶゆき(佳作賞)、鈴木紗也香(VOCA賞)、吉田晋之介(佳作賞)

場所: 上野の森美術館

※申込み不要

学芸員によるギャラリートーク

上野の森美術館学芸員が出品作品を紹介します。

日時: 3月17日(日)、24日(日)15:00~16:00

場所: 上野の森美術館

※申込み不要

「VOCAの20年 1994-2012」 展

上野の森美術館ギャラリーおよび、第一生命南ギャラリー&同社1階ロビーでは、VOCA展20周年特別企画として、過去の受賞作品でVOCA展を振り返る回顧展を「VOCA展2013」の会期に合わせて開催します。
また、第一生命ギャラリーでは、個展の機会を与えられた受賞作家の展覧会も随時開催しています。

日時: 【上野の森美術館ギャラリー】3月15日(金)~30日(土)10:00~18:00
【第一生命南ギャラリー】3月4日(月)~4月12日(金)12:00~17:00 ※土日祝日休館

場所: 上野の森美術館ギャラリー
第一生命南ギャラリー(東京都千代田区有楽町1-13-1 第一生命保険株式会社 日比谷本社1F)