3月13日に開催されたシンポジウム「VOCAの現在」の収録映像を公開しました。
VOCA展 は毎年ミュージアムスタートあいうえのに協力しています。
3月25日(月) 「~Wander wonder~うえので探す、上野の不思議」でVOCA展と小西真奈展の鑑賞ワークショップを開催します。
3月23日(土)15時より、VOCA佳作賞を受賞した、佐々瞬さんのトークを開催します。
※VOCA佳作賞の笹岡由梨子さんは体調不良のため、本日のトークは中止いたします。
3月16日(土)15時より、VOCA賞大東忍さん、VOCA奨励賞・大原美術館賞上原沙也加さん、VOCA奨励賞片山真理さんのトークを開催します。
2024年3月13日(水) 14:00 ~ 16:00 ※お申込みは2/19(月)開始です
VOCA賞
大東 忍さん
VOCA奨励賞
上原 沙也加さん、片山 真理さん
VOCA佳作賞
佐々 瞬さん、笹岡 由梨子さん
大原美術館賞
上原 沙也加さん
The Vision of Contemporary Artの頭文字をとってVOCA(ヴォーカ)展と呼ばれる本展は、全国の美術館学芸員、研究者などに40歳以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方法により、毎年全国各地から未知の優れた才能を紹介している現代美術展です。
今開催で31回目となる「VOCA展」は、平面美術の領域で国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に1994年より毎年開催し、延べ1044名(組)の作家が出展。ここから大きな躍進を遂げる作家を多く輩出しています。
今年も「平面」の可能性を追求した多様な作品をご紹介いたします。
VOCA賞
大東 忍
「風景の拍子」
木炭、麻布・パネル
VOCA奨励賞 ・ 大原美術館賞
上原 沙也加
「幽霊たちの庭」
アーカイバルピグメントプリント、額
VOCA奨励賞
片山 真理
「
red shoes #003」「red shoes #001」「
red shoes #002」
C-print
VOCA佳作賞
佐々 瞬
「そこに暮らす人々は自らの歴史を記した」
追廻住宅の家屋部材、同住宅ふとんカバー、アクリル、謄写版原紙 (ガリ版ろう原紙)、額、鉛筆
VOCA佳作賞
笹岡 由梨子
「Animale/ベルリンのマーケットで働くクマ」
レンチキュラー印刷・パラフィン・絵の具・ぬいぐるみ・古着・LEDライト、木枠・かざり板・パネル・モニター・メディアプレーヤー・スピーカー (映像1分20秒)
今年もVOCA展の特徴である「平面」の多様性を感じる審査であった。いわゆる技法や素材による多様性という意味だけではなく、自身の居住地あるいは特定の土地に依拠したリサーチを経た作品からは、国内各地で制作を続ける作家たちの力強い声を感じた。VOCA賞の秋田の景色そして踊るという行為をモチーフに、木炭による静謐なモノクロームの世界観を見せた大東忍の作品、また場所の歴史と真摯に向き合った奨励賞の上原沙也加、佳作賞の佐々瞬の作品などが印象に残った。
VOCA賞を受賞した⼤東忍の作品は、⽊炭独特の持ち味、闇と光が照らし出す⾵景、そして⾒る⼈の視点を引き寄せる踊る⼈物が、絵画の魅⼒を存分に表現していた。上原沙也加の台湾と沖縄をつなぐ写真、⽚⼭真理の複数の⼿が履く⾚いハイヒール、佐々瞬の⾃⾝と場所の過去を映す⾵景、笹岡由梨⼦の明るさに隠された社会のできごとなど、どの受賞作もユニークな物語を喚起させるものだった。⾃⼰の体験と関⼼を起点に外界へと開かれていく表現に可能性を感じた。
平面作品は本当にさまざまな有り様と可能性を持っている。毎回そうなのだが今回の審査においても、その事実には感慨深いものがあった。大東忍は木炭だけで固有性と匿名性を併せ持つ印象的な風景を、佐々瞬は身体性が強いガリ版を使って土地に潜む記憶を描き切った。場の気配を巧みに編み直す上原沙也加、自画像の強度を高めている片山真理、メディアミックスの巧者笹岡由梨子らは、写真や映像表現の深化がここまで進んだことを教えてくれる。
今回、初めて審査に参加させていただき、いずれも力作、秀作で刺激的な経験をさせていただいた。
社会背景や歴史と個人の記憶を呼応させる作品や、その中でも説明の域を超え表現として突出した強さがあるものの印象が残った。また、二次元の限られた空間で表現することの難しさを改めて感じると共に、その空間を前にした時の視野や身体の反応に対して有効な表現があると思った。
ほかの委員の考えていることは選考途中までわからなかったが、結果は意外なほど圧倒的で、VOCA賞は全員がほぼ高得点を投じた大東忍さんとなった。大東さんの《風景の拍子》という作品にどのように惹きつけられたのか、自分でまだ分析できてないが、他の委員の高得点の理由も論考で読むことを楽しみにしている。ところで、秋田をテーマとした作品が、昨年に続き2連覇となったことに気づいたのは、審査が終わってしばらく経ってからだった。
「VOCA展2024」の出品作家31名が決定しました。作家と推薦委員は下記のとおりです。
(敬称略)
作家 | 推薦委員 | |
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上原 沙也加 | 亀海 史明 | 沖縄県立博物館・美術館 学芸員 |
ウチダリナ | 毛利 直子 | 高松市美術館 学芸員 |
大橋 鉄郎 | 樋泉 綾子 | 札幌文化芸術交流センターSCARTS キュレーター |
大山 智子 | 森川 もなみ | 山梨県立美術館 学芸員 |
小左 誠一郎 | 川谷 承子 | 静岡県立美術館 上席学芸員 |
長田 奈緒 | 中尾 拓哉 | フリーランス、美術評論家 |
小山 維子 | 桝田 倫広 | 東京国立近代美術館 主任研究員 |
片山 真理 | 田中 龍也 | 群馬県立近代美術館 学芸員 |
亀岡 倫太郎 | 小原 真史 | 東京工芸大学 准教授 |
木下 理子 | 岡里 崇 | 上野の森美術館 学芸員 |
顧 剣亨 | 山本 麻友美 | 京都芸術センター 副館長 |
小林 勇輝 | 内海 潤也 | 公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館 学芸員 |
斉藤 思帆 | 大澤 紗蓉子 | 横浜美術館 学芸員 |
佐々 瞬 | 赤井 あずみ | 鳥取県立博物館 主任学芸員 |
笹岡 由梨子 | 藤田 瑞穂 |
京都市立芸術大学 ギャラリー@KCUA チーフキュレーター/プログラムディレクター |
しまうち みか | 原田 真紀 | インディペンデント・キュレーター |
しまだそう | 小林 公 | 兵庫県立美術館 学芸員 |
大東 忍 | 石倉 敏明 | 秋田公立美術大学 准教授・人類学者 |
田中 彰 | 町村 悠香 | 町田市立国際版画美術館 学芸員 |
千原 真実 | 秋田 美緒 | 国立西洋美術館 研究員 |
堤 千春 | 野中 祐美子 | 金沢21世紀美術館アシスタント・キュレーター/レジストラー |
中村 絵美 | 高橋 しげみ | 青森県立美術館 学芸主幹 |
中山 晃子 | 塚本 麻莉 | 高知県立美術館 主任学芸員 |
ヌケメ | 角 奈緒子 | 広島市現代美術館 学芸員 |
東山 詩織 | 崔 敬華 | 東京都現代美術館 学芸員 |
肥後 亮祐 | 大槻 晃実 | 芦屋市立美術博物館 学芸員 |
前田 春日美 | 森 啓輔 | 千葉市美術館 学芸員 |
松延 総司 | 鈴木 俊晴 | 豊田市美術館 学芸員 |
松元 悠 | 荒井 保洋 | 滋賀県立美術館 主任学芸員 |
宮内 裕賀 | 坂本 顕子 | 熊本市現代美術館 学芸員 |
山下 耕平 | 正路 佐知子 | 国立国際美術館 主任研究員 |
日時 | 2024年3月14日(木) ~ 30日(土) 10:00 ~ 17:00 |
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場所 | 上野の森美術館ギャラリー |
過去のVOCA展出品作家の中から、学芸員がとくに注目するアーティストを選んで開催する個展シリーズです。
小西真奈は「VOCA展2006」でVOCA賞を受賞。今回の個展では、小西が近年コロナ禍を経て身近な植物園や温室などを題材に描いてきた油彩やドローイングを展示します。
パネリスト(予定) | 受賞作家・選考委員 |
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日時 | 2024年3月13日(水) 14:00 ~ 16:00 |
定員 | 100名(要申込) |
受付は終了しました
受賞作家が作品について語ります。
3月16日(土) 15時~ | 大東 忍 (VOCA賞)、上原 沙也加 (VOCA奨励賞・大原美術館賞)、片山 真理 (VOCA奨励賞) |
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3月23日(土) 15時~ | 佐々 瞬 (VOCA佳作賞)、笹岡 由梨子 (VOCA佳作賞) |
今年も-東京オペラの森2024-のプログラムとして、VOCA展展示室内でミュージアム・コンサートを開催します。
現代美術の展示される会場で聴く現代音楽は普段では味わえない格別な時間をお届けいたします。
日時 |
2024年3月19日(火) 19時~ 2024年3月25日(月) 19時~ |
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チケットのご購入等、詳しくは音楽祭の公式HPをご参照ください。
第一生命が所蔵するVOCA展受賞作品の中から、原色・パステル・モノクロなど、様々な色合いの作品を集めた、彩り豊かな作品展となっています。
魅力あふれる作品たちを是非ご覧ください。
場所 | 東京都千代田区有楽町1-13-1 第一生命保険株式会社 日比谷本社1F |
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会期 | 2024年3月14日(木) ~ 11月30日(土) 8:00〜20:00 ※無料・無休 |