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VOCA賞
三宅 砂織
「内緒話」 | 「ベッド」 |
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受賞コメント
イメージのキャスティング
受賞作「内緒話」「ベッド」はフォトグラムという古い写真技法で制作されています。フォトグラムとは印画紙の上に直接オブジェクトを乗せ、影を落とすことによりイメージを得るカメラを使わない写真です。
私の制作では手描きのフィルムと既製品の立体物を重ねてイメージを作っています。
点・線・面といった平面的な要素と既製品の立体的な要素、露光中に部分をブラしたり覆い焼きをしたりして即興で取り込む時間的な要素など、制限をもうけずに思いつくままに持ち込まれ、乱雑にモンタージュされた現象を、光を透過させることによって一体化し、印画紙の上に浮かびあがらせています。
誤用を恐れずにいうならば、これは立体におけるキャスティング(型取り)に近い方法ではないかと考えています。私には立体物を型取りするかわりにイメージを型取りしているのという感覚があります。さらにいうならば、このとき光によって造形されるのは、フィルムに描かれたイメージや配置されたオブジェクトではなく、その隙間(空間)なのです。このように、離ればなれに存在していたものが空間を介してつながっていくこと、ネガとポジの反転、見えなかったり意識されなかったものが関係性のなかから意味を持ちはじめる瞬間、または、それらの全く逆のことが起きる瞬間は、いつでも興味がつきることがないと思うのです。