カルナグランデ(大運河)よりサンタ・マリア・デッラサルーテ聖堂を〜アカデミア橋より

 

 ヴェネツィアとは“水の都”として世界的に知られる観光地です。まるで、蜃気楼(しんきろう)のように水上に浮かぶ幻想的な都市。アドリア海を望むイタリア北東部に位 置し、120を超す小島と400もの橋、170以上もの小運河で出来ています。街に入ると狭い迷路のような路地が走り、運河沿いにはビザンチン、ゴシック、ルネサンス、バロックなどさまざまな様式の建物が立ち並び、建造物を見ているだけでも楽しめます。誰もが一度訪れるとヴェネツィアのとりこになることを実感するでしょう。

リアルト橋
サンマルコ寺院

バルナバ広場近くの路地
 文豪スタンダールは「ヴェネツィアでは、すべてのものが輝いている」といい、フランス印象派の画家クロード・モネは、水面 に 映えるパラッツオ・ドゥカーレ(総督宮殿)を光りあふれる絵にした。後年、抽象的かつ無機的な絵で有名になったイタリアの画家キリコは、リアルト橋とゴンドラのある風景やサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会をやさしく描いた。ヴェネツィアは多くの文学者を引き付けた。イギリスの詩人バイロンは1816年に訪れ、2年7ヶ月ほど滞在。荒廃の美を詩に詠み、ゲーテはレデントーレ教会などパラーディオの設計した建築を称賛した。

 
 ヴェネツィアには抗しがたい魅力があり、その不思議な魅力はいつの時代も人々の心をとらえてはなさない。 まさに現代のユートピアである。 ヴェネツィアには違う時間が流れている。

 

 

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