■ヴェネト州料理の歴史
 ヴェネツィアを州都とするヴェネト州は、貿易の拠点という歴史的・地理的要因と平原から得られる豊かな農産物を背景とした二面 性をもつ食文化を築き上げた土地柄です。 その二面性とは、“ヴェネト料理=ビーゴリ料理”と“ヴェネツィア料理=カーニバル料理”となるでしょう。“カーニバル料理”とは貿易でもたらされた食材からなり、魚介類を使ったパスタや揚げ菓子など、香辛料を効かせた力強く濃厚な味わいが特徴です。そして、これらの料理は、手軽に摘め腹持ちが良いため、カーニバルの時に好んで食べられる料理です。対照的に“ビーゴリ料理”とは、ヴェネト地方の自然発生的料理を総称する言葉で、野菜類がふんだんに使われ、アヒルやこい、ウナギ、マスなど身近な食材を用いて調理したいわばお母さんの味です。また、米を好んで食していたため、これらの食材を組み合わせて作られるリゾットはビーゴリの典型といっても過言ではないでしょう。ヴェネトの人々が生活の場面 において、二つの伝統的な食文化を上手に作り分け、食べ分けていることは言うまでもありません。地理的、歴史的要因、そして人々の知恵によってかたち作られてきた食文化のバランスの良さは、敬服に値すると言えるでしょう。



■ヴェネト州ではぐくまれたワイン
 イタリアの料理を愉しむにあたって、ワインは欠かせない関係にあるのは皆さんもご存知のはず。 日本市場におけるイタリアワインの輸入量は、フランスワインに次いで第2位 。とても馴染み深いですね。 ヴェネト州は、海や山に囲まれた平野があり、ワインの生産に適しており、数々の名品を生み出しています。また、生産量 が北部イタリアで最も多い地域でもあります。 また、ヴェローナで開かれる世界最大規模のワイン見本市「ヴェニタリー」が催されることから、イタリア国内や海外からも、ワインの生産者や専門家が訪れるようです。赤・白・ロゼのワイン以外にも、グラッパの生産も行われています。 (※グラッパとは、ワイン醸造の際に残ったものを発酵させ蒸留したもの)

 

 

 

 

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